WINGSプロジェクト 高江 賢,山田 祥寛(監修)

 WINGSプロジェクトは,有限会社WINGSプロジェクト(代表取締役:山田祥寛)が運営するライティング・チーム。海外記事の翻訳から,主にサーバーサイド分野の書籍/雑誌/Web記事の執筆,講演,アプリケーション開発などを幅広く手がけています。2008年1月時点での登録メンバーは25名で,現在も一緒に執筆をできる有志を募集中。執筆に興味のある方は,どしどし応募ください。

 マイクロソフトは2007年12月14日に,統合開発ツールの新版であるVisual Studio 2008の各エディションの日本語版をリリースし,MSDNサブスクリプション会員向けにダウンロード提供を開始しました(表1)。Visual Studio 2008は,前バージョン以降に登場したテクノロジへの対応だけでなく,同時にリリースした.NET Framework 3.5への対応,プログラミング言語であるC#やVisual Basicの仕様拡張など,大きく機能が強化されました。ボリューム・ライセンス向けリリースは2008年2月1日,パッケージ販売は2008年2月8日に始まります。

表1●Visual Studio 2008の製品構成
エディションの分け方は基本的にはVisual Studio 2005を踏襲している。Officeアプリケーションを開発するためのVSTO(Visual Studio Tools for Office System)の単体リリースは無くなり,Professional Editionに統合された
エディション 概要
  • Visual Studio Team System 2008 Team Suite
  • Visual Studio Team System 2008 Architecture Edition
  • Visual Studio Team System 2008 Development Edition
  • Visual Studio Team System 2008 Database Edition
  • Visual Studio Team System 2008 Test Edition
  • Visual Studio Team System 2008 Test Load Agent
  • Visual Studio Team System 2008 Team Foundation Server
  • Visual Studio 2008 Professional Editionに,チーム開発支援ツールを追加したエディション
    Visual Studio 2008 Professional Edition 個人または小規模なチームで開発を行うプロフェッショナル向けのエディション。Windowsアプリケーション,Webアプリケーション,モバイル・アプリケーション,Officeアプリケーション,サーバーサイド・アプリケーションなどを開発できる
    Visual Studio 2008 Standard Edition 個人のプログラマ向けのエディション。WindowsアプリケーションやWebアプリケーションを開発できる
  • Visual Basic 2008 Express Edition
  • Visual C# 2008 Express Edition
  • Visual C++ 2008 Express Edition
  • Visual Web Developer 2008 Express Edition
  • 学習,評価,ホビー用向けのエディション。マイクロソフトのサイトから無償でダウンロードできる。言語別パッケージになっており,Visual Studio 2008 Standard Editionから一部の機能が除かれている
    Visual Studio 2008 Professional Editionアカデミック プログラミングを行う学生および教職員向けに,Visual Studio 2008 Professional Edition相当の機能を安価に提供する

    Visual Studio 2008の三つの強化ポイント

     Visual Studio 2008における強化ポイントとして,次の3点が挙げられます。

    1. 最新プラットフォームへの対応

     Windows Vistaをはじめ,2007 Office system,Windows Server 2008,SQL Server 2008に対応しました。Visual Studio 2008はWindows Vistaに初めて完全対応した開発ツールです。

    2. 操作性の向上とプログラミング言語の拡張

     インテリセンス機能など統合開発環境(IDE)の操作性を向上させました。さらに,Visual Basic,Visual C#といった開発言語の仕様を拡張したり,LINQによるデータ・アクセス・テクノロジを取り入れました。

    3. アプリケーション・ライフサイクル・マネジメントの強化

     エンタープライズ開発向けのVisual Studio Team Systemエディションの役割を広げ,ソフトウエア開発におけるライフサイクル全体のトレーサビリティを向上させました。

     このPartでは,「最新プラットフォームへの対応」と「操作性の向上とプログラミング言語の強化」についてポイントを説明していきます。Visual Studio Team Systemによる「アプリケーション・ライフサイクル・マネジメントの強化」については本特集のPart5を参照してください。