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Zend Framework入門

RADツールによるPHPアプリケーション速効開発
- Zend_Application -

Zend Frameworkによる実践的なPHPアプリケーション開発 24


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 本連載では、PHP上で動作するアプリケーションフレームワークであるZend Frameworkについて紹介していきます。今回はZend Applicationに焦点を当てて説明したいと思います。

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はじめに

 本連載では、PHP上で動作するアプリケーションフレームワークであるZend Frameworkについて紹介していきます。今回はZend Applicationに焦点を当てて説明したいと思います。

 前回も触れたように、Zend_Applicationは設定やリソースの管理を行うモジュールです。

対象読者

 PHPの基本構文は一通り理解しているが、フレームワークを利用したことはないという方を対象としています。

必要な環境

 Zend FrameworkはPHP 5.2.4以降とWebサーバがインストールされている環境で利用可能です。本稿ではWebサーバとしてApache 2.2を、OSにWindows XPを採用し、アプリケーションを作成していきます。

 以下に、今回アプリケーション作成/動作確認に用いた環境を示します(インストールにあたっては最新安定版の使用を推奨します)。各項目の詳細なインストール手順は、「サーバサイド技術の学び舎 - WINGS」より「サーバサイド環境構築設定手順」を参照ください。

  • Windows XP SP2
  • PHP 5.2.11
  • Apache 2.2.13

 LinuxやFreeBSDなどUNIX系OSをお使いの方もコマンドはほぼ一緒ですので、パスなどは適宜読み替えてください。

Zend_Applicationの動作

 前回も触れたとおり、Zend_Applicationクラスはアプリケーションの本体として、設定の読み込みやリソース(アプリケーションで使うオプジェクト)の生成を行います。また、このうちのリソースの生成のことをブートストラップと呼びます。この処理の流れを、単純なサンプルを通じて見ていきましょう。

Zend_Applicationの利用するファイル

 Zend_Applicationを利用したアプリケーションを作成するには、通常はコマンドラインツールを使って環境を構築します。ファイル構成の確認をしましょう(リスト1)。特に重要なファイルについては*印をつけてあります。

[リスト1]ファイル構成
C:.
└codezine
   ├─public
   │      .htaccess                  Apacheのための設定
   │      index.php                  フロントコントローラ
   │
   ├─application
   │  │  Bootstrap.php              リソースを作成するスクリプト
   │  │
   │  ├─configs
   │  │      application.ini        アプリケーションの設定
   │  │
   │  ├─controllers
   │  │      IndexController.php    indexのアクションコントローラ
   │  │      ErrorController.php      エラー処理のアクションコントローラ
   │  │
   │  ├─models
   │  └─views
   │      ├─helpers
   │      └─scripts
   │          ├─index
   │          │      index.phtml    indexアクションindexサービスのビュースクリプト
   │          └─error
   │                  error.phtml      エラー処理のためのビュースクリプト
   │
   ├─library
   │
   └─tests

 最初はindex.phpapplication.iniから見ていきます。index.phpにはZend_Application全体の処理の流れが、application.iniにはZend_Applicationの設定が記述されています。

最小構成

 リスト1にあるファイルは、Zend_Applicationに必要なものになっています。ただ、本当の意味で「とりあえず動作させる」ことを考えると、さらにいくつかのファイルを減らすことができます。

 まず「ErrorController.php」と「error.phtml」は、エラー処理の際だけに必要なので、エラーさえなければ呼び出されることはありません。また「Bootstrap.php」もなくてもブートストラップクラスによるブートストラップが省略されるだけで、アプリケーションの実行自体はできます。

Zend_Applicationの処理の流れ

 コマンドラインツールを利用して作成されたウェブアプリケーションで、最初に呼び出されるファイルは「index.php」です。このindex.phpの中で、アプリケーションの設定や実行に関する処理が行われています。この処理の流れをindex.phpから抜き出したものはリスト2のようになります。

[リスト2]アプリケーションの設定と実行(index.php)
<?php
...
// Create application, bootstrap, and run
$application = new Zend_Application(
    APPLICATION_ENV,
    APPLICATION_PATH . '/configs/application.ini'
);
$application->bootstrap()
            ->run();

 これを 4段階に分けたのがリスト3となります。

[リスト3]アプリケーションの設定と実行
/* (1)Zend_Applicationのインスタンスを作成 */
//APPLICATION_ENV は環境の名前
$application = new Zend_Application(APPLICATION_ENV);
/* (2)設定を与える */
//設定ファイルの名前
$options = array('config' =>
                 APPLICATION_PATH . '/configs/application.ini');
$application->setOptions($options);

/* (3)ブートストラップ */
$application->bootstrap();

/* (4)実行 */
$application->run();

 まず(1)でZend_Applicationのインスタンスを作成しています。その際にこのアプリケーションが実行されるべき「環境」を指定しています。この環境は、設定ファイルのどの部分を読み込むかを指定しています。

 次に(2)でZend_Applicationの設定の読み込みを行っています。ここではconfig.xmlというファイルに書かれている設定を読み込むようにしています。

 (3)ではブートストラップを実行しています。ここではBootstrap.phpに格納されているブートストラップファイルと設定ファイルに記述されてるリソースプラグインを呼び出しています。そして(4)ではアプリケーションを実行しています。具体的には(3)の段階で作成したフロントコントローラーへ、処理をディスパッチしています。

 なお、(4)の段階では、必ずリソースプラグインを利用して作成されたフロントコントローラーにディスパッチされます。そのため、Zend_Applicationを利用する場合には、リソースプラグインを使ってフロントコントローラーを作成する必要があります。

 次に、Zend_Applicationの設定から見ていきましょう。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 風田 伸之(カゼタ ノブユキ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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