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Android Studio 2で始めるアプリ開発入門

Androidアプリでのバックグラウンド処理と通知機能

Android Studio 2で始めるアプリ開発入門 第13回


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 Androidアプリを開発するにはAndroid Studioを使います。そのAndroid Studioのメジャーアップデートであるバージョン2.0が正式公開されました。本連載では、最新のAndroid Studio 2系を使い、Androidアプリ開発の基本を解説していきます。前回はAndroidアプリでのメディア再生を扱いました。今回は、Androidのバックグラウンド処理であるサービスと、バックグラウンドの状態を通知するノーティフィケーションを扱います。

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本連載の書籍化について(2018年5月追記)

 本連載は、加筆・再構成およびAndroid Studio 3対応を行い、書籍化しています。最新情報については、こちらもぜひ併せてご参照ください。

対象読者

  • Androidアプリ開発未経験な方
  • Java言語は一通り習得済みである方

サンプルプロジェクト作成

 では、今回使用するサンプルアプリを作成していきましょう。以下がプロジェクト情報です。

  • Application name: ServiceSample
  • Company Domain: android.wings.websarva.com
  • Package name: com.websarva.wings.android.servicesample
  • Project location: C:\…任意のワークフォルダ…\ServiceSample
  • Phone and Tablet Minimum SDK: API 15
  • Add an activity: Empty Activity
  • Activity Name: SoundStartActivity
  • Layout Name: activity_sound_start

 strings.xml、activity_sound_start.xmlはダウンロードサンプルのソースコードをコピーしてください。今回も、前回同様に音声ファイルを使用します。前回使用したものと同じものでかまいませんので、resフォルダ配下の「raw」フォルダに格納してください。

 この状態で、一度アプリを起動してみてください。以下のような画面になっているはずです。

図1 起動したアプリの画面
図1 起動したアプリの画面

 前回と違い、再生と停止ボタンだけのシンプルな画面です。停止ボタンは押せないようになっています。また、再生ボタンをタップするとエラーでアプリが終了します。これは、タップ時の処理が記述されていないからです。前回は、この再生ボタンをタップすると、直接メディアを再生するように処理を記述しました。その方法ですと、アクティビティを終了させるとメディア再生も終了してしまいます。今回は、アクティビティが終了してもメディア再生が続くように処理を記述していきます。

サービス(1)

 では、アクティビティが終了しても、メディア再生が続くようにするには、どのようにすればいいのでしょうか。Androidではアクティビティから独立してバックグラウンドで処理を続ける仕組みとして「サービス」というのがあります。前回、アクティビティに記述したメディア再生処理をこのサービスに記述し、アクティビティからサービスを起動するようにします。

サービスクラスの作成

 サービスを利用する手順は以下の通りです。

  1. Serviceクラスを継承したクラスを作成。
  2. AndroidManifest.xmlにサービスを登録。
  3. onStartCommand()メソッドにバックグラウンドで行う処理を記述。
  4. アクティビティからこのクラスを起動。

 では、順に行っていきましょう。

 1.と2.はAndroid Studioのウィザードを使用すれば自動で行ってくれます。javaフォルダを右クリックし、

 New > Service > Service

 を選択してください(「Service(Intent Service)」を選ばないように注意してください)。以下のウィザードが開きます。

図2 サービス追加のウィザード画面
図2 サービス追加のウィザード画面

 Class Nameに「SoundManageService」と入力し、「Exported」のチェックボックスを外し、Finishをクリックしてください。SoundManageServiceクラスが追加され、AndroidManifest.xmlにタグが追記されていることが確認できるはずです。なお、ウィザードに従って作成されたSoundManageServiceクラスには、コンストラクタとonBind()メソッドがあらかじめ記述されているはずです。親クラスであるServiceクラスは抽象クラスであり、抽象メソッドであるonBind()を必ず実装する必要があります。ただし、このメソッドは「サービスのバインド」という方法でサービスを実行する場合に必要なメソッドであり、今回のように直接サービスを起動する場合には必要ありません。したがって、ウィザードが作成したままにしておいても構いません。

バックグラウンド処理の記述

 では、手順3.に移り、onStartCommand()メソッドにソースコードを記述していきますが、その前に、MediaPlayerオブジェクトはさまざまなメソッドから利用されるため、MediaPlayerのフィールドと、その中身の用意をonCreate()メソッドに記述しましょう。

リスト1 SoundManageServiceにソースコードを追加
public class SoundManageService extends Service {
    private MediaPlayer _player;

    @Override
    public void onCreate() {
        super.onCreate();
        _player = new MediaPlayer();
    }
        ~省略~
}

 特に解説は必要ないでしょう。onCreate()メソッドは、Activity同様、Serviceが生成されたときに1回だけ呼ばれる初期化メソッドです。

 では、onStartCommand()に処理を記述しましょう。

リスト2 SoundManageServiceにonStartCommand()を追加
public int onStartCommand(Intent intent, int flags, int startId) {
    String mediaFileUriStr = "android.resource://" + getPackageName() + "/" + R.raw.mountain_stream;
    Uri mediaFileUri = Uri.parse(mediaFileUriStr);
    try {
        _player.setDataSource(SoundManageService.this, mediaFileUri);
        _player.setOnPreparedListener(new PlayerPreparedListener());
        _player.setOnCompletionListener(new PlayerCompletionListener());
        _player.prepareAsync();
    }
    catch (IOException e) {
        e.printStackTrace();
    }
    return super.onStartCommand(intent, flags, startId);
}

 最終行以外、前回のMediaControlActivityのonCreate()に記述していたものと同じなので、解説は不要でしょう。

 なお、最終行ですが、親クラスのonStartCommand()を呼び出し、その戻り値をそのままreturnしています。これは、定型処理と思っていただいて構いません。

 次に、リスナクラスを記述しましょう。以下のものを記述してください。

リスト3 SoundManageServiceにリスナクラスを追加
private class PlayerPreparedListener implements MediaPlayer.OnPreparedListener {
    @Override
    public void onPrepared(MediaPlayer mp) {
        mp.start();  // (1)
    }
}

private class PlayerCompletionListener implements MediaPlayer.OnCompletionListener {
    @Override
    public void onCompletion(MediaPlayer mp) {
        stopSelf();  // (2)
    }
}

 サービスでは、MediaPlayerの準備が整い次第メディア再生を行えばいいので、start()メソッドを実行します。それが(1)です。なお、onPrepared()メソッド、および、onCompletion()メソッドの引数mpは該当MediaPlayerなので、メディア操作はこの引数に対してそのままメソッドを実行します。

 では、再生終了時の処理、つまり(2)はどういった処理なのでしょうか。Serviceは画面を持ちませんので、そのままでは自動で終了しません。そこで、メモリ解放の観点から、適切なタイミング自分自身で終了させる必要があるのです。そのメソッドがstopSelf()であり、ここでは、メディア再生終了時にServiceそのものも終了させています。

 このService終了時には、Activity同様にonDestroy()メソッドが呼び出されます。なので、前回のMediaControlActivity同様に、onDestroy()メソッドでMediaPlayerオブジェクトの解放を行う必要があります。以下のソースコードを追記してください。

リスト4 SoundManageServiceにonDestroy()メソッドを追加
public void onDestroy() {
    super.onDestroy();
    if(_player.isPlaying()) {
        _player.stop();
    }
    _player.release();
    _player = null;
}

 前回のMediaControlActivityと同様の処理なので、解説は不要でしょう。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook<個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/9817 2018/05/23 15:37

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