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基礎からはじめるReact入門

アプリの状態管理を安全に行うためのFluxとRedux

基礎からはじめるReact入門 第8回

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 Reactはコンポーネントを組み合わせて開発を行うことで、保守性の高いアプリケーションを実現できるライブラリです。同時に、優れたUIを提供するライブラリでもあります。今回は、Propsの型を定義することでコンポーネントの可用性を向上させる方法を学びましょう。

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対象読者

  • JavaScriptとWeb開発の基礎に理解がある方
  • Reactに興味/関心があり、これから学び始める方

前提環境

 筆者の検証環境は以下の通りです。

  • macOS Sierra 10.12
  • Node.js v8.9.4/npm 5.6.0
  • React 16.2.0
  • redux 3.7.2
  • react-redux 5.0.7

Fluxの思想

 Flux(フラックス)はFacebook社が提唱している、クライアントサイドのWebアプリケーション開発のためのアプリケーション・アーキテクチャ(設計思想)です。単方向のデータフローを構築できることが最大の特徴で、開発の規模が大きくなってもデータの流れを見失いづらいことが大きなメリットです。Reactとの併用を主に想定して生み出されたため、ReactによるWebアプリケーション開発を行う多くの現場で採用されています。

 それでは、Fluxがどのような考え方をするアーキテクチャなのかを解説していきます。Fluxは次の3つの要素から成り立っています。

Fluxを構成する3つの要素
名前 役割
Store(ストア) アプリケーションの状態データを保持するオブジェクト、状態の更新を実施する処理
Action(アクション) 状態を更新するための指示内容を表すメッセージ
Dispatcher(ディスパッチャー) Storeに対してActionによる更新指示を行う関数

 Fluxの最大の特徴である単方向データフローは、ここにUIである「View」を加えて、図1の通り表されます。

図1 Fluxの単方向データフロー
図1 Fluxの単方向データフロー

 状態の更新指示内容である「Action」を関数である「Dispatcher」で「Store」に伝えて状態を更新し、その結果を「View(React)」に伝える、といった流れです。

 実際にアプリケーションに組み込んだ場合には、ユーザーが画面を操作したイベントに応じて新たなActionを発行(dispatch)して、状態と画面を更新していく形になるので、次の通りになります。

図2 ユーザー操作を考慮したデータフロー
図2 ユーザー操作を考慮したデータフロー

 図2に沿って初期化後の処理を一つひとつ見ていくと、次のことをしています。

  1. ユーザーがViewを操作する(ボタンを押す、文字を入力する、など)
  2. 更新したい事柄をActionの形にまとめて、Dispatcherに渡す
  3. DispatcherからActionを渡されたStoreが、Actionの内容に応じて状態を更新する
  4. Storeの状態が更新されたことを検知したViewが書き換わる

 Fluxアーキテクチャを採用したアプリケーションは、このデータフローを繰り返していくことになります。データの流れを逆流させたり、Dispatcher以外の方法でStoreを更新したりすることはできないので、アプリケーションの動きを把握しやすいです。Fluxが開発規模の拡大に強いとされる理由はここにあります。

Fluxに触発されたライブラリたち

 Fluxそのものはあくまでも設計思想です。Fluxの単方向データフローを皆さんのアプリケーションの中で実現するための方法を、Facebook社は強制していません。そのため、世界中の開発者たちが「私が考えた最高のFlux」や「Fluxに触発された便利なライブラリ」を生み出しました。筆者が代表的なものとして認識しているのは次のライブラリです。

  • Redux
  • Flux(Facebook社による参考実装)
  • MobX
  • Almin
  • 自作(そう、自分で作ってもいいのです)

 ひとくちに「Fluxを導入する」といっても、こうもたくさんあってはどれを使えばいいのか迷ってしまいますね。筆者は次の理由から「Redux」を使うことが多いです。

  • データ管理の機構が分かりやすい
  • デファクトスタンダードになりつつあり、Web上の情報が多いため、トラブルシューティングが容易
  • 込み入ったことをしたくなった場合の拡張性に優れている
  • 拡張のためのライブラリが豊富に存在する

 次節からは「Redux」を題材にして、Fluxを用いた開発は実際にどうすればいいのかを解説していきます。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 中川幸哉(ナカガワユキヤ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/10751 2018/04/09 14:00

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