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ITシステムの仕事で今、最も大切なことはスピード開発。周囲から「トロい」と言わせないためのテクニックを主要ツールで身に付けよう。

 多くの企業がユーザーからの要求を素早く実現するために、継続的インテグレーション(CI)と呼ぶ仕組みを導入しようとしている。CIとは、ビルド(ソースコードの結合に関する一連の作業)やテストを日常的に実施し、仕様追加や変更に素早く対応するための仕組みだ。IT現場がもたつかず、ソフト開発を時短(時間短縮)する上で不可欠なアプローチと言っていい。

 Jenkins(ジェンキンス)は、このCIの仕組みを実現するためのオープンソース・ソフトウエア(OSS)だ。開発元は米クラウドビーズ(CloudBees)で、生みの親は同社CTO(最高技術責任者)の川口耕介氏である。以下では、5つの疑問に答える形で、Jenkinsとは何か、そのメリットは何か、といったことを解説する。

疑問1:なぜ「Jenkins」なんて名前なの?

 Jenkinsは、ソフトウエア開発者の作業の一部を肩代わりしてくれる「執事」のようなツールだ。Jenkinsをサーバーにインストールすれば、ビルドやテストといった面倒な作業(ジョブ)を自動化できる。以下に示すのは、そんなJenkinsのロゴだ。

英国執事をイメージしたJenkinsのロゴ
英国執事をイメージしたJenkinsのロゴ
(出所:Jenkins公式サイト)
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 このロゴは、落ち着きのある英国執事の姿をイメージしている。マスコットキャラクターは、ドラマに出てくる執事のような蝶(ちょう)ネクタイ姿だ。Jenkinsという名前も「英国執事を想起させる」という理由で命名されたものだ。実際、Jenkinsは開発者にとって面倒な作業を肩代わりしてくれる執事としての機能を備えている。

 Jenkinsは、もともと「Hudson(ハドソン)」という名前だった。Hudsonという名前も英国執事を連想させるという理由で名付けられた。ところが2010年12月、米オラクル(Oracle)がHudsonを商標登録したため、商標上の懸念が発生してしまった。Hudsonを開発する主要メンバーとオラクルの間で話し合いが持たれたが、結局Hudsonという名前のまま開発し続けることが難しくなった。そこで、Hudsonの開発コミュニティー内で投票を行い、Jenkinsに改名された。